熱モデルに基づいたFocus+Context機能を有するグラフ構造のレイアウトとブラウジング
概要
熱モデルと力学モデルに基づいてグラフ構造をレイアウトし、複数の正および負のフォーカスを仮想的な熱源の設定によって行える可視化技法を研究してきています。 熱のメタファによって一般的なグラフ構造の拡大・縮小表示すべき点を設定できる情報可視化技法です。フォーカスに仮想的な温度を与え、その熱輸送をシミュレートすることによって、レイアウトします。 例示によってグラフレイアウトのパラメタを調整するLayout by exampleも研究しています。 |
キーワード
熱モデル、力学モデル、Degree of Interest (DoI)、グラフレイアウト、グラフナビゲーション
説明
一般的なノード・リンク・グラフを対象とし、熱のメタファを利用した熱伝導モデルに基づいてレイアウトし、熱輻射モデルに基づいてナビゲーションをする研究をしてきています。
主な特徴は次の通りです。
- 統合
- Force-directed レイアウト技法
- 熱モデル –熱伝導 –熱輻射
- 物理メタファの利用
- パラメータ調整を行った際の結果の予想が容易
- 複数フォーカスの設定が可能
- 正フォーカス (Zoom-in)
- 負フォーカス (Zoom-out)
- Focus+Context
熱伝導モデル
- リンクが熱を伝える (放熱なし)
- 熱伝導率
- ノードが放熱する
- 放熱率
- フォーカスノードが熱源
- 定温源 –温度 –(DOI - Degree of Interest)
- リンクの弛緩長(自然長)は、リンクの熱膨張率と両端の温度で決まる
放熱なし (実質的にフォーカスなし) |
1個の正フォーカス フォーカスは中央ノード |
2個の正フォーカス フォーカスは中央と左上ノード |
正と負のフォーカス フォーカスは中央と左上ノード |
3次元レイアウト |
重力を利用した3次元レイアウト |
熱輻射モデル
- 熱源が熱エネルギーを輻射
- ノードの温度は、輻射熱に依存
- 熱源が、熱エネルギーをスポットライトのような熱として放射
熱輻射と熱伝導を用いたナビゲーション
- 視点からマウスポインタに向かって熱を放射
- 黄色部分が輻射熱を受けている
スポットライト状の熱輻射を用いたグラフナビゲーション
応用
応用として、没入型仮想環境内で手を利用してグラフ・ナビゲーションをするプロトタイプシステムを開発しました。
関連研究
並列プログラムの性能デバッギングを支援するアニメーション化ツール: 「かのこ」
関連する発表
- Noritaka Osawa, "A Multiple-Focus Graph Browsing Technique Using Heat Models and Force-Directed Layout," 5th International Conference on Information Visualisation (IV2001), pp.277-283, (2001/07).
- Noritaka Osawa, Kikuo Asai, Yuji Y. Sugimoto, "Immersive Graph Navigation Using Direct Manipulation and Gestures," Symposium on Virtual Reality Software & Technology 2000 (VRST 2000), pp.147-152, (2000/10).
- 大澤 範高, "熱のモデルによるFocus+Context機能を有するグラフブラウザ", 日本ソフトウェア科学会第7回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ (WISS '99), pp.71-76, (1999/12).
今後の予定
例示によってグラフレイアウトのパラメタを調整するLayout by exampleの研究を進める予定です。
また、Webのナビゲーションなどに応用する予定です。